私の夫は自衛隊で、
結婚してから二、三年に1度のペースで転勤を繰り返していて、
それは子供が産まれてからも変わらなかった。
子供が春に小学校に上がるという今年の1月に、
豪雪の北海道へと転勤になり、官舎へと入居した。
古株のお局さんと新しい住居で起きたトラブル みゅうさん35歳
・大仕事
同じ棟の方への挨拶を済ませて家の片付けに追われていた頃、回覧板が回ってきた。
何やら雪かき当番の表が貼ってある。雪が積もった日の朝、除雪をする係が載っていたのだが、なんと今月は私が当番になっているではないか。
雪にも慣れていないし除雪の仕方もわからない。
なのにもし明日雪が積もればいきなり私が雪掻きをしなくてはいけないのだ。
まだ家もダンボールだらけで片付いていないのに、これには正直困ってしまった。
・ボス?
せめてやり方を口頭で教えて貰おうと、回覧板を回すがてらお向かいのおうちの奥様に聞いてみることにした。
その奥様はとても丁寧に色々教えてくれた。
そして「わざわざ来たばかりで今月から係にしなくてもいいのに〇〇さんたら。」なんて言うのだ。
どうやら〇〇さんという方が官舎の中で一番の古株で、その人が決めたことらしい。
入居早々ひとの悪口で誰かと仲良くなっても仕方ないのでそのときは軽く話を流したが、ばっちり〇〇さんを覚えてそのときは帰宅した(笑)。
・案の定
嫌な予感は当たるもので、次の日の朝はしっかりと雪が積もっていた。
お向かいさんに教えてもらったように、朝6時からせっせとスコップで決められた範囲の雪掻きをした。
雪に慣れていないのが逆に良かったのかやり始めるとなんだか夢中になってしまい、
終わる頃には自画自賛するほど綺麗になった。
新聞を取りに来たお向かいさんにも褒められたくらいである。
除雪を終えて家に帰ったのは一時間半後だった。
その日の昼、うちのインターホンがなった。
「〇〇と言います~」なんて言っている。
あの〇〇さんだ!なんだろうと思い出てみると、雪掻きの範囲が狭いという。
外に出て説明を聞くと、なんと今日やった部分の倍以上の面積が私の範囲だと言うのだ。
駐車場までやってくれないと車が出せないという。
それはすみませんでしたと謝って話は終わった。
お向かいさんが言ってた範囲と違うことと、
今日一時間半かけて頑張ったことなどが気になったが仕方ないので
次はもっと早く起きてやろうと思うのだった。
・突撃
北海道の一月なんて雪が降らない日のほうが少ない。
明日も雪が積もりますなんてニュースを見ては、
時計を4時半にセットして5時には外に出ていくという生活をしていた。
そんな日が何日か続いたある日、
もうすぐ除雪が終わるという頃にお向かいさんが走ってきた。
こんなところまで雪掻きは必要ないとのこと。
駐車場は除雪車が入ってくれるんだそうだ。
私は〇〇さんに言われたことを伝えた。
するとお向かいさんが〇〇さんの家へ行って聞いてみようと言うのだ。
あ~なんだか面倒くさいことになったと、
揉め事が嫌いな私は心底嫌な気持ちになったがそれも断れない私。
インターホンを鳴らすと〇〇さんが出てきた。
お向かいさんが
「除雪の範囲ってどうだったっけ~?」
なんて柔らかい口調で聞いてくれている。
けどなんだか少しトゲっぽい。
駐車場まではみんなやってないみたいよ~私はやってたよ~なんてやり取りを繰り返した後、
結局駐車場まではやらなくて良いことに収まった。
お向かいさんの正義感には感謝だが、これによってなんだか関係が悪くならないかと心配している。
まだ越してきてひと月も経っていない。これからこんなんで大丈夫なのだろうか…。
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